今、eメールマーケティングはどのように消費者に受け入れられ、企業はどのように活用していくべきか


Writer:
山崎雄司
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インターネット創成期には、オンライン上の主な連絡手段として用いられてきたeメール。長い間コミュニケーションの中心としてその立場を維持してきたが、スマートフォンの普及とともにSNSやメッセージングアプリが利用され始めると、若者を中心にeメール離れが顕著になってきている。 このように日常生活において人々のeメール離れが進むなか、果たしてマーケティング手法としてのeメールの活用は時代遅れなのだろうか。今回は、デジタルマーケティング全盛の現代におけるeメールマーケティングの効果を、データを中心に紐解いていく。

eメールマーケティングの実態


2020年の国内の調査によると、通販・ECサービスで商品購入歴がある人のうち、情報を最も多く受けとっている情報伝達媒体は、eメールが72.3%、DMが20.7%、SNS(LINE)が19.7%となっている。この結果から、マーケティングにLINEなどのメッセージングアプリやSNSが活用され始めた今でも、eメールの持つ情報伝達力はまだまだ大きいことがわかる。また、「EC・通販で再購入するきっかけになった情報伝達媒体」を問う質問では、「eメール」が51.8%で1位。再購入の理由としては、「欲しいものに気づかせてくれた」という意見が多い。つまり、eメールは未だ、消費者に購買意欲を促しリピーターを増やすのに主要なチャネルということが調査からも裏付けられている。消費者と繋がり、直接メッセージを届け、信頼関係を構築するのに一定の効果があるeメールは、マーケティングに有効なツールの一つとして適切に活用すべきものなのである。

また、eメールは、今や半数が携帯端末で開封されているといわれている。ウェブアナリティクス企業各社の海外の調査によれば、eメールからの売り上げも年々増加傾向にあるとのこと。たとえば、年末商戦のブラックフライデーやサイバーマンデー週には、すべてのクリック行為の65%が携帯端末から行われているというデータも出ており、開封にとどまらず、メッセージ内に含まれるリンクへのモバイルによるクリック率も堅調であるといえる。

eメールマーケティングの活用方法と効果


それでは、デジタルマーケティング全盛の今でも考慮するべき、eメールマーケティングの活用方法を見ていこう。

件名の工夫

海外の調査によれば、企業からのeメールの件名に「値下げ」についての言及があるメールとないメールでは、ないメールの方がエンゲージメント率(開封率やメール内のリンクのクリックの割合)は高かったという。また、年末商戦の時期に、企業がeメールの件名に多く用いた値引き率は「50%」や「20%」であったが、興味深いことに、2019年の年末に最もエンゲージメント率が高かったのは「10%」や「15%」などの低い値引き率であったとのこと。多くの消費者は当然安く商品を購入したいと思っているが、あまりに値引きを強調しすぎると、宣伝色が強くなりすぎて敬遠される場合もあるのかもしれない。件名には、値引き率よりも、伝えたい要素を含むことが重要であり、マーケターは、件名に付加価値を加えることで他社との差別化を意識するべきであろう。

コミュニケーションTPO

エンゲージメントを維持するために、企業は、消費者が「いつ」「どこで」「どのように」ブランドからコンタクトされたいと考えているかを把握しておく必要がある。
しかし現状では、調査によると、94%の消費者が企業からのコミュニケーション方法に不満を持っているという。その理由としては、頻度が高すぎる(61%)、無関係なコンテンツ(56%)、誤ったコミュニケーションチャネルでの連絡(33%)などとのこと。消費者がどのチャネルを好むかは、当然メッセージのコンテキストが大きく影響するものの、さまざまなチャネルのなかでも特にeメールは、83%と多くの消費者が好んでいるという結果が出ている。一方、配達の通知やアポイントメントのリマインダーといった緊急性の高い内容は、テキストメッセージがeメールの2倍近く支持されている。適切なコミュニケーションチャネルを使用しているビジネスが高く評価される傾向も見られ、内容によって適切なチャネルを使い分けることがブランドの評価を高めていくことにつながることが予想できるだろう。

モバイルにおけるeメール受信と開封

海外の調査では、各国のプライバシー規制が進み、消費者からの信頼を得られたことで、販促メールへの安心感が高まったことで、2014年から2019年の期間でメール開封率は19%、クリックスルー率は14%増加しているというデータが示されている。一方、位置情報やプッシュ通知機能などを組み合わせた広告によるモバイルエンゲージメントは減少しているという結果も。プロバイダやメールサーバに登録してメールアドレスを取得し「メーラー」と呼ばれる専用ソフトを使用するタイプのeメールを、モバイルデバイスやデスクトップで開封する消費者の割合は低下しているという。これに対して、Webブラウザを使ったメール(Webメール)を開封する受信者の割合は増加している。
モバイルアプリの受信トレイへ送信されるメッセージは、プッシュ通知よりも効果が高く、平均オープン率は22%を超える。クリックスルー率も、企業がモバイルデバイス向けのコンテンツ最適化により注力することで増加するという。

依然として高い効果が期待できるeメールマーケティング


SNSやメッセージングアプリなど、消費者とのさまざまなタッチポイントが存在する現代でも、eメールを用いたマーケティングは、適切に活用すれば十分な効果が期待できる手法であることが、調査結果からも裏付けられている。顧客の求める情報や配信のタイミングなどを見定めることで、開封率やクリックスルー率も改善され、ブランドの評価が向上していくことに繋がっていくだろう。最近では、BIMIなどの認証技術により、消費者が受信トレイを見た時点でブランドを識別することが可能となり、eメール開封に対する安心感も後押ししてくれるようになってきている。どの媒体でどのような情報を伝えたいか都度見定める必要はあるものの、求められる情報を丁寧に届けることができるeメールを用いたマーケティングは、まだまだ活用の余地のある有効なチャネルであるといえるだろう。

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