プッシュ通知はデジタルマーケティングでどのように活用されているか


Writer:
山崎雄司
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スマートデバイスが爆発的に普及する昨今、日本国内では15歳~49歳の9割以上がスマートフォンを保有するというデータも公表されている。それに伴い、デジタルマーケティングの進化も加速。今回の記事では、こうしたデジタルマーケティングに用いられるスマートデバイスの機能の一つ「プッシュ通知」を利用した施策と、その有効な活用方法について見ていこう。

参考:スマートフォン保有率(株式会社NTTドコモ モバイル社会研究所)

プッシュ通知とは


プッシュ通知とは、自身のスマートデバイスに配信されたメッセージやメール、ニュース、天気予報などといった最新情報を、アプリが自動的に知らせてくれる機能だ。その通知方法はさまざまであり、たとえばスマートフォンのライトや着信音、バイブレータや画面上に表示されるステータスバーへのアイコンなどがある。こうした通知方法は、利用者の好みやライフスタイルに応じて自由に設定できる。
このプッシュ通知を活用することで、利用者は、リアルタイムで情報を得ることができるだけでなく、アプリを起動しなくても必要な情報をスピーディーに得ることができる。

企業におけるプッシュ通知のメリット


プッシュ通知を活用する企業側のメリットとして挙げられるのが、「高い開封率」と「即時性」の2つであろう。
プッシュ通知が届いたときの視認率は100%に近いといわれており、プッシュ通知を開封して情報を確認するという人の割合については、9割以上を超えるというデータも。メルマガの開封率が10%程度といわれるのに比べると、プッシュ通知は圧倒的に高い確率で情報をユーザーへ届けることができるということがわかるだろう。
また、チラシやDMでは、ユーザーや消費者の反応をすぐ把握できない一方、プッシュ通知はそれらをタイムリーに確認できる。ユーザーへ情報が届くまでのタイムラグが非常に短く、通知して数分後、数時間後など、すぐに集客の反応や販促の効果を確認することも可能だ。今後の戦略をスピーディーに計画、変更するのにも大いに活用できるだろう。
さらに、ユーザーがアプリを起動していない状態でも、プッシュ通知によりアクションを促すことができ、ユーザーのアクティブ率を上げられることもメリット。プッシュ通知によってユーザーとの接触回数を増やすことができるため、顧客ロイヤルティを高める機会も創出できる。

プッシュ通知を活用するためのCX


プッシュ通知の効果を発揮するためには、まず、自社アプリをダウンロードしてもらうことから始まる。これには、そもそも自社への顧客ロイヤリティを高めておくことが前提となるだろう。
なお、アプリを使わないプッシュ通知と同様の機能を持つものに「Webプッシュ通知」がある。しかし、こちらもブランドへのロイヤリティが低い状況だと、通知を拒否されてしまったり、そもそもユーザーによるWebサイトへのアクションが期待できなかったりする可能性が高い。
いずれにしろプッシュ通知を活用するためには、まず、自社のファンを増やすための施策を丁寧に実行し、自社の認知度と信頼度を高め、アプリのダウンロード、もしくはサイトの訪問につなげることが必須なのだ。そのためには、CX(=カスタマーエクスペリエンス)を重視したマーケティング活動が重要になるだろう。

プッシュ通知の活用事例


ここでは、プッシュ通知の細かい種類と共に、プッシュ通知を活用した事例を3つ見ていこう。


じゃらん観光ガイド


大手宿泊予約サイト『じゃらん』の公式アプリでは、特定のエリアに入った会員に対しプッシュ機能で通知する「ジオプッシュ機能」を活用した販促を実施。この機能では、店舗の近くにいる顧客を認識し、そのエリア内にある飲食店の割引券や施設の入場割引券などといったお得な情報を届けている。
 
参考:アプリ開発|ジオプッシュ機能について解説!!成功事例も合わせて紹介 販促アプリ開発ラボ|Piece

Dinda Compre Moda Infantil Online


ブラジルの子ども向けファッションECサイト『Dinda』では、プッシュ通知に画像や動画を盛り込んだ「リッチプッシュ通知」を採用。これにより、ダイレクトオープン比率を25%上昇させることができたという。また、プッシュ通知のテキスト部分に絵文字を入れる取り組みも。絵文字なしのテキストと比較して、絵文字を取り入れることでエンゲージメント率が20%上昇したそうだ。
 
参考:リッチプッシュ通知とは?国内外のクリエイティブ事例7選|株式会社パンタグラフ

Tiendeo


Tiendeo』は、世界35か国に向けて有名ブランドのカタログならびに店舗情報を提供するウェブサイトである。こちらのサイトではWebプッシュ通知を活用して、ユーザーのリテンション(既存顧客との関係を維持すること)の向上につなげている。従来のメールでは10~25%のユーザーしか目を通していなかったというが、Webプッシュ通知を用いることによって開封率が80~90%にまで上昇したとのこと。
また、自社サイトへの訪問については、eメールのみの配信で5~10%であったが、Webプッシュ通知を用いたところ27%のユーザーがサイトにアクセスしたという。
同社の例は、情報配信の際にWebプッシュ通知を取り入れてユーザーの目に触れやすくしたことで、自社への関心度アップにも結びつけることができることを示している。
                                                                                                  
参考:
【プッシュ通知】機能と仕組みと成功事例|MARKETING MAGAZINE
リテンション|マーケティング用語集|シナジーマーケティング株式会社

プッシュ通知を活用しマーケティングを活性化させよう


以上のようにプッシュ通知は、企業にとってユーザーとの効果的な接点になると同時に、ユーザーにとっても有益な情報をタイムリーに得られる機能だ。インターネットの普及により、誰もが知りたい情報を入手できるようになった現代。プッシュ通知を活用することで、ユーザーの「見たい」「読みたい」という意欲を掻き立て、効果的なマーケティングへと発展させていきたいものである。

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