三室:『カスタマーリングス』の着想を得たのは前職でデータマイニングを手がけていた時、とにかくデータの前処理が煩雑で、普通の人では手が出せないレベルなんですよね。ひとことで言えば面倒くさい。そうするとどうなるかと言うと、思考停止してしまうんです。
鈴村:一度でもその面倒くささを経験しちゃうと、その道を避けたくなりますよね。経験とか勘に頼ってしまいがち。
三室:たとえばある地域のこの年代の人がどういう買い方をしているのか、というようなことを知りたい時にかなり苦労するわけです。なかなか答えにたどり着けない。そうなると「ま、いっか」となるわけ。僕は前職でコンサルタントとしてお金をいただいてたから"やる"なんですけど、でも現場の人が思い立った時にそれができないというのは問題だな、と思っていたんです。分析ってきれいなデータでやると本当に使えるんですよ。
鈴村:確かに私も前職ではプロジェクト内にデータ加工専門の人がいて、その人に頼むと1週間半かかってました。で、顧客への報告が2週間に1回のペースだったから、データ出てきたとき「あれ?なんだったっけこれ」ってことによくなってましたよ。思考が分断されるんですよね。
三室:その問題意識から生まれたのが『カスタマーリングス』なんです。実際に開発するときはアクションまでしっかり作り込もうと思っていました。分析だけで終わるんじゃなくて、アクションの結果をフィードバックしてさらに分析の精度を上げる、というサイクルです。そういったことが実現できるパーツも揃ってきましたしね、時代的に。
鈴村:『見える化エンジン』のときはアクションまでは手を出せていなかったので『カスタマーリングス』ではアクションして、結果もすぐ帰ってきて、これ一つでPDCAサイクルを回せるというのが強みですね。