キリンホームタップが挑むCRM変革。
コミュニケーション品質と顧客体験(CX)の向上で事業の黒字化を牽引。
キリンビール株式会社
事業創造室 野崎 氏
カスタマーリングスをもっと詳しく
導入前の課題
導入前
- コロナ禍の需要急増に乗じたマスマーケティングによる集客成功の一方で、コロナ収束後の状況変化によって顧客離反・稼働単価低下といった課題が表面化
- CDP・MA・BIなどのデジタルツールが未整備で、顧客セグメントの概念はあるものの施策に落とし込む手段がなかった
- LINEやメールの配信を外部代理店に委託していたため、施策実行のスピードに制約があった
導入の決め手
- 必須条件だったLINEとメールを一元管理できる運用基盤
- SQLの知識がなくてもGUI上で操作・分析できる使いやすさ
- どんな人でも使いやすい「自信をもって勧められる」直感的なUI
取り組み内容
- 購入量・購入商品・利用頻度に基づく6セグメントの定義と、カスタマーリングスを用いたセグメント別のメール・LINE配信施策を実装
- LINEおよびメール配信をカスタマーリングスへの移行による運用コストの削減
- カスタマーリングスの分析機能を活用した、稼働単価・スキップ率などのKPIのリアルタイムモニタリング
導入後の成果
導入後
- 長期にわたり右肩下がりだった「稼働単価(顧客1人あたりの購入金額)」が、2025年に反転上昇
- LINEの配信設定の内製化とメールとの一元管理による、外部委託費の削減
- セグメント別の施策の実行基盤整備による、アップセル・継続促進を目的とした1to1コミュニケーションの実現
- 1to1施策の実施により、サイト訪問率が130%に向上、メールの反応率も全配信比で117%を達成
- 「見える化エンジン」との連携による「攻めのCS(先回りのサポート)」の実現と、それに伴う解約防止
キリングループのコーポレートスローガンである「つながり」を体現すべく、顧客と直接関係を結ぶダイレクト事業を推進しているキリンビール株式会社 マーケティング部事業創造室。自宅でクラフトビールを楽しめるサブスクリプション「キリン ホームタップ」は、コロナ禍で急成長を遂げたものの、コロナ収束後には既存会員の満足度低下や稼働単価の下落といった課題に直面していました。デジタルCRM基盤が未整備だった状態から、カスタマーリングスの導入によってどのような変革をもたらしたのか。事業創造室の野崎氏に話を伺いました。
「つながり」をコンセプトに生まれたホームタップ。コロナ禍の急成長が、次なる課題を生んだ
──貴社の事業と、直面している課題について教えてください。
ホームタップは2017年に始まったサービスで、「工場つくりたてのビールの美味しさをそのまま届けたい」というコンセプトから生まれました。コロナ禍で宅飲み需要が高まり、テレビCMを中心としたマスマーケティングが功を奏して、会員の申し込みが殺到し、一時は順番待ちにもなりました。
しかし、コロナが落ち着くにつれて状況は変わり始めました。既存会員の満足度スコアが低下し、顧客1人あたりの「稼働単価」も右肩下がりになり、新規流入より退会者が上回るという状況が、数字として現れてきたのです。
CDP・MA・BIがない状態で、セグメントだけが存在していた
──当時のデータ基盤やマーケティング施策はどのような状況だったのでしょうか。
当時は、デジタルCRMの基盤が十分に整っていませんでした。当社はもともとマスマーケティングを得意としていたこともあり、MAなどの1to1マーケティングツールは未導入、データ活用やセグメントごとのコミュニケーションが課題となっていました。
一方で、顧客を6セグメントに分けるフレームはすでに存在していました。購入量(2L・4L・6L以上)や購入商品(スタンダードかクラフトビール)、限定品購入の有無などを組み合わせた独自のセグメント定義です。しかし、それを施策に落とし込む手段がなく、結果として全顧客への一斉メルマガや、人手に頼ったセグメント配信が唯一のコミュニケーション手段となっていました。
こうした状況の中、CRMの事業優先度の変化により専任部署が立ち上がりました。デジタル分野に強い社員も、その流れで参画することになり、状況を一変させる取り組みが始まりました。
「使いやすさ」と「LINEとメールの一元管理」がカスタマーリングス選定の決め手
──カスタマーリングス導入の決め手は何だったのでしょうか。
ツール選定では、複数のソリューションを比較検討しましたが、大規模向けのツールは、配信量の多くない会員様専用のホームタップサービスとしてはオーバースペックであり、コストと機動力のバランスが合いませんでした。
最終的にカスタマーリングスを選んだ理由は大きく2つあります。
1つ目は、LINEとメールという主要な配信チャネルを一つのツールで一元管理できることで、施策設計をシンプルにできる点が必須条件でした。
2つ目は、SQLの知識がなくても直感的に操作・分析ができるノーコードのツールであり、デジタルマーケティングの経験が浅いメンバーや入社1年未満の担当者が主導する環境においても、誰もが即戦力として使いこなせる確信が持てたことです。この「圧倒的な使いやすさ」があったからこそ、既存ツールからの乗り換えという大きな変革であっても、自信を持って社内へ導入を働きかけることができました。
まずLINEの内製化でコスト削減を実証、その後メール・施策設計へと展開
──導入後はどのような施策から着手されたのでしょうか。
導入後に最初に着手したのはLINE配信の移行です。以前は、メールとLINEそれぞれで別の委託先様に設定依頼をしており、必要以上のコストがかかっていましたが、カスタマーリングスへの移行によりこのコストを削減することができました。導入初期の運用フロー構築前は、担当部署から仕事を奪うように(笑)私がやりますって、自身で入稿依頼まで担当するところから始めました。また、使いやすいUIと丁寧なサポートがあったので、すぐに使い方の習得ができ、他メンバーへの移行もスムーズに行えました。
その後は、メール配信の移行に着手しました。オンボーディングシナリオだけで25〜26本に及ぶメール群を順次切り替え、複数の制作会社・社内担当者が関わる運用体制を整理していきました。この移行フェーズだけで約半年を要しましたが、コスト削減という分かりやすい成果を社内に示すことができました。
基盤整備が完了してからは、本来の目的であるセグメント別施策と分析の実装に取り組んでいます。
1to1コミュニケーションにより、サイト訪問率130%向上、メール反応率117%を実現
──基盤整備後の具体的な成果(数字面)について教えてください。
ホームタップは毎月定額でお届けするサービスのため、極端に言えばサイトに来なくても継続は可能です。一方で稼働単価向上に向けてはサイトへの来訪が重要であり、サイト訪問率の改善が課題となっていました。
カスタマーリングスを活用してLINEの配信本数を増やし、1to1のシナリオ設計や出し分けを行った結果、サイト訪問率は大幅に改善し、導入前と比較して130%向上しました。
また、メールにおいても、全配信と比較して1to1メールの方がクリック率は高く、反応率の比較で117%という結果が出ています。さらに、毎年減少していた会員の純減数も25%改善し、退会に歯止めがかかるなど、具体的な数字として明確な成果が表れています。
また、併せて、むやみにメールを増やし来訪していただいているのではなく、お客様ひとりひとりにあったコミュニケーションができているので、お客様からも好評いただいております。
期待を超えた分析機能。BIでは実現できなかった「その場で深掘り」が可能に
──カスタマーリングスの分析機能や使い勝手、サポートはいかがでしたか。
カスタマーリングスの分析機能は、当初の想定を上回るものでした。
社内では、他社のBIツールも導入していますが、新しいレポートを1本作成するだけでも外部への設計依頼が必要になり、時間とコストがかかってしまいます。
一方で、カスタマーリングスは画面上で直感的に操作でき、施策のPDCAを素早く回すことができます。
また、キリンホームタップの基幹システムは、独自仕様でデータ構造が複雑だったため、データ連携にも特別な工夫が必要でした。カスタマーリングスのコンサルタントが伴走してくれて、顧客データの特性をヒアリングしながら取り込み、設計を最適化し、分析に耐えられるデータ品質を整えて下さいました。
「見える化エンジン」との連携による「攻めのCS」が解約防止に直結
──テキストマイニングツール「見える化エンジン」もご活用いただいていますが、カスタマーリングスとの連携でどのような効果がありましたか。
非常に大きな成果として、お客様へ先回りして対応する「攻めのCS(カスタマーサポート)」が実現できたことです。これまでは、毎日200〜300件ほど寄せられるお客様の応対履歴を人力で一件ずつ目視チェックし、整理する、ということをやっていました。現在は見える化エンジンのAIを活用し、コメントの自動分類からグラフ化までを自動化する取り組みを進めています。 さらに、カスタマーリングスと見える化エンジンを連携させることで、大きなシナジーが生まれています。アンケートに埋もれがちなネガティブな言葉を見える化エンジンで抽出し、温度感の高い声に対して、迅速に個別アプローチを行っています。こうした受け身ではないアプローチを実施することで、実際に解約防止につながっています。どちらか一つのツールだけでは実現できなかった、非常に良い施策だと感じています。
稼働単価が「右肩上がり」に転換。CRM施策の効果が数字に表れた
──最後に、導入後の成果と今後の展望について教えてください。
長期にわたり右肩下がりが続いていた「稼働単価(顧客1人あたりの購入金額)」が、カスタマーリングスを活用し始めた2024年以降、上昇に転じました。翌年には、反転して右肩上がりに変わったのは大きなポイントだと思っています。導入から運用のプロセスでは、担当コンサルタントの存在も非常に大きかったです。
CRMやマーケティングオートメーションのカスタマーサクセスの担当者で、ここまで自社ツールを深く理解している方は、なかなかいないと思っています。貴社の担当者の方々は本当に理解度が高くて、複雑なデータ設計の課題にも的確に対応してくれました。スムーズに導入できて、早い段階で成果につながった理由のひとつだと感じています。
キリンホームタップは、「つながり」を事業コンセプトにしているサービスなので、顧客一人ひとりへの1to1コミュニケーションは本質そのものです。カスタマーリングスを基盤に整えたCRM施策は、稼働単価の反転という大きな成果を生み出しました。
今後はさらにセグメントの精度を高めて、顧客のライフサイクルに合わせた施策を深化させていきたいと思っています。「お客様とキリンが直接つながり、お客様同士もつながっていく」そのビジョンの実現に向けて、これからもデータを軸にしたCRMを進化させていきます。