活用事例インタビュー
日本航空株式会社 Web販売部 1to1マーケティンググループ 野口氏 / 木下氏

サービスを充実させるため、アンケートを積極的に利用。
お客さまの声を全社で活用しているJALの取り組み

日本航空株式会社

Web販売部 1to1マーケティンググループ
野口氏 / 木下氏

日本航空株式会社様 ロゴ

カスタマーリングスをもっと詳しく

導入前の課題

導入前

課題
  • サイト来訪者に対してオープンなアンケートしか作成できず、お話を聞きたい方の声を聴くことが難しかった
  • スマートフォンには対応しておらず、アンケート画面がスマートフォン向けに最適化されないため、視認性、操作性が悪くお客さまに対して不親切で、回答を入力しづらい環境だった

導入の決め手

  • 従来のアンケートシステムは、増加するスマートフォンへの対応ができておらず、お客さまからも快適に回答できるものではなかった。また、社内の各部署の目的にあわせ、対象となるお客さまに向けたアンケート展開もできず、収集方法、活用の上での課題があった

導入後の成果

導入後

成果
  • セキュアな環境で対象を絞ったアンケート調査を実施できるようになった
  • スマートフォン向けに最適化された画面が表示されるようになり、アンケート回答が簡単に。これまで実施できなかったスマートフォンを利用したアンケートが実施できるようになった

お客さま1人1人に最適なおもてなしを。
年間200件前後ものアンケートを実施

国内・海外への空の旅を提供している日本航空株式会社(JAL)。

同社が運営するホームページでは、国内線・国際線の航空券予約のほかに、マイレージプログラム「JALマイレージバンク」への入会申し込み、国内・海外ツアー申し込みやホテル・レンタカー予約といった機能・サービスが提供されている。

インターネットの普及、スマートフォンの台頭といった時代の流れを受けて、航空券予約などの手配をする利用者が着実に増えてきた。そうした背景から、同社ではWebコンテンツ“制作”を主な役割としていた組織をWeb“販売”部へと改編し、Webの企画に関する機能・人材を集約した。そして、さらに踏み込んで、お客さま1人1人の声に耳を傾けて“個客”のニーズに合ったおもてなしができるように、Web販売部の中に1 to 1マーケティンググループを組織した。

同社が「世界一お客さまに選ばれ、愛される航空会社」を目指していることから、同グループでは“個客”の声を把握しようと年間200件前後ものアンケート調査を実施。それだけの規模で“個客”の声を集める必要性について、同グループの野口氏・木下氏は次のように語っている。

Web販売部 1to1マーケティンググループ 野口氏

Web販売部 1to1マーケティンググループ 野口 氏

「アンケートを実施することで、お客さまにはどんな方がいらっしゃって、どういった行動を取られているのかを知ることができます。そうして集めたデータを分析することで、『どうすればお客さまお一人お一人のニーズを満たすおもてなしができるのか』と日々考えているわけです。

集めたデータの中で、特に重視しているのはフリーアンサーです。温かいご感想、厳しいご指摘、何気ないご質問など、フリーアンサーにはお客さまの本音が詰まっています。それらは本当に大事なものですから、しっかり受け止めて今後のサービス改善に生かしていかなければならないと考えています」(野口氏)

「Webサイトでの行動履歴やこれまでの搭乗履歴から、お客さま1人1人のニーズを部分的には察することもできるでしょう。けれど、こちらが本当に知りたい『航空券を予約しようとしていたのに、なぜ直前になってサイトから離脱したのか』『どうしてJALを利用しようと思ったのか』『複数の候補がある中から、なぜこのツアーを選んだのか』といった情報は、アンケートを通じてお尋ねしてみないことにはわかりません。お客さまの声を正確に把握してニーズにしっかり応えていくためにも、アンケート調査は重要な業務になっているのです」(木下氏)

スムーズな移行を最優先。
要件を満たしたのはアンケート機能も備える
カスタマーリングスだけだった

そうした考えから年間200件前後ものアンケートを実施するJALだが、従来は一般的なアンケートフォームをWebページ上にそのまま設置して回答を募っていただけだったという。

従って、同社に対してロイヤリティーの高いJALマイレージバンク会員など、特定の利用者に絞ってアンケートを集める機能は備えておらず、サイト来訪者なら誰でも回答できる状況だった。さらにスマートフォンからの閲覧時には、PC向けのフォームがそのまま表示されてしまうため、非常に回答を入力しづらい点も大きな問題だった。スマートフォン経由のアクセスが急増していたことから、スマートフォン向けにアンケート表示を最適化する必要性も感じていたという。この課題を解決する為にアンケートシステムを刷新しようと検討を開始。

しかし、希望条件を満たすシステムは、なかなか見つからなかったそうだ。

検討時に最重要視したポイントは、前述の2点などを満たしつつ、従来のシステムからできるだけスムーズに移行できることだったという。年間200件前後のアンケートの中には、継続的に実施しているものもある。そのために「システム移行中に、アンケート収集を中断せざるをえない期間ができるだけ発生しないこと」、そして「システム移行の前後でアンケートの見え方ができるだけ変わらないこと」を重視し、新たに導入するシステムを選ぶことになった。

「当時、こうした要件をすべて満たすアンケートシステムはほとんどありませんでした。そんな中、本来はCRM/マーケティングオートメーション用のツールでありながら、アンケートフォームの作成機能も備えているカスタマーリングスなら、要件をすべて満たせることに気付いたんです。収集したアンケートデータを、自動的にグラフなどで “見える化”してくれて、分析に役立ちそうなところも魅力でしたね」(野口氏)

セキュアな環境で
お客さまを考慮したアンケートが可能に

カスタマーリングス導入によって、大きく改善されたと野口氏・木下氏が手応えを感じたのは主に2つ。

先にも挙げた「セキュアな環境で対象を絞ったアンケートを実施できるようになったこと」と「スマートフォン向けにアンケート画面を最適化して表示できるようになったこと」だ。

Web販売部 1to1マーケティンググループ 木下氏

Web販売部 1to1マーケティンググループ 木下 氏

まず前者、「セキュアな環境で対象を絞ったアンケート」ができるようになった利点について、野口氏は次のように説明している。「従来のシステムでは、各部署が『この点について、条件に当てはまるお客さまに絞って尋ねてみたい』と考えても、不特定多数に向けたオープンなアンケートの設問を設計し、複数の設問を経て対象者を絞り込むくらいしか手段がありませんでした。しかしそれでは設問数が増え、長々と続くアンケートになってしまいます。そんなアンケートは、お客さまにしてみたら『時間がかかって面倒だ』と答える気が失せてしまいますよね。迷惑だと感じるお客さまもいるだろうという点も懸念され、調査に入れなかったことも多かったです。

それがカスタマーリングス導入後は、お客さまのご興味に近いと思われること、ご関係が深いことを考慮して質問ができるようになりました。お客さまが安心してお答えいただけるよう、セキュアな環境でアンケートを展開できる環境となったのも、大きな変化だと感じています。社内で立ち話をしていても『カスタマーリングスを使ってお客さまの声を聞き、こんな施策を考えたんだ』と喜んで報告してもらえるようになりました」(野口氏)

スマートフォン向けにアンケート画面を最適化。
集まる回答数が大きく伸びた

大きく改善されたもう1点は、スマートフォンへの対応だ。

カスタマーリングス導入以前は、スマートフォンからアクセスすると、PCのアンケートフォームがそのまま表示されてしまっていた。画面を拡大しなくては見づらく、回答の選択肢をクリックするのにも苦労するような状況だったという。しかも同社は、無料通話・チャットアプリ「LINE」で公式アカウントを運用し、友だち数が500万人を突破するなど、スマートフォンを活用したPR展開に積極的だ。自然とスマートフォンからの流入数も急増していたため、早急な対応が必要だったと木下氏は振り返っている。

「きれいにデザインした画面をLINEで見てもらってからアンケートに誘導しても、遷移した先では非常にお粗末なアンケート画面が表示されているわけです。それでは『アンケートに答えよう』というお客さまの意欲を削いでしまいます。『対応を急がなくてはならない』と危機意識を持っていました。

それがカスタマーリングスを導入したことで、『フォントサイズはこれくらいの大きさで』『入力欄のここの幅は何ピクセルで』と細部まで作り込めるようになりました。スマートフォンからアクセスしても見劣りせず、簡単に回答できるアンケート画面へと改善できたことで、スマートフォンからの回答数は大きく伸びましたね」(木下氏)

そのように「セキュアな環境で対象を絞ったアンケート」が可能になり、「スマートフォン向けに最適化して表示」できるようになったことで、「全社レベルでアンケート活用の機会が広がり、お客さまの声も多数集まるようになりました。アンケート結果の分析によるサービス改善も、これからもっと多くなっていくはずです。」と野口氏は期待を寄せている。

航空機の搭乗時以外でも接点を持ち、
よりお客さまに近い感覚を持てるように

1 to 1マーケティンググループでは今後の取り組みについて、JALの本業以外のところ、例えばエンターテインメントアプリなどの活用も視野に入れることで、利用者との接点を増やし、その声をより一層深く理解できるようになりたいとしている。

「われわれとお客さまとの接点は限られています。現状では航空機をご利用になられるとき、ツアー等を利用してご旅行されるときくらいしかないのではないでしょうか。しかし、それではお客さまのことを深く理解することはできません。より多様な機会を広く設けて接点を増やし、お客さまとのコミュニケーションを深く広くしていくことで、よりお客さまに近い感覚を持てるようになりたいのです。そのためにもカスタマーリングスをもっと活用して、極端な例かもしれませんが、エンターテインメント関連のアプリを利用するなどして、さまざまなチャネルでお客さまとの接点を持てるようになり、コミュニケーションの基盤を構築していきたいと考えています」(野口氏)

もう1つ、同グループにとっては外国語によるお客さまの声を集めることも急務だという。2020年の東京オリンピックを控え、これからますます訪日する外国人旅行者が増えるからだ。同社は既に26言語のサイトを持っているが、残念ながら現時点ではアンケートまで多言語対応できていない。スペイン語やフランス語を母国語とする利用者にも、英語でアンケートを展開せざるを得ない状態だ。

今後は、お客さまに寄り添い、それぞれに合わせた言語でコミュニケーションしていくことも目標にしているという。「そして最終的には、日本語以外でもお客さまの声を分析して、お客さま1人1人に合ったおもてなしを提供できるようにしたいと考えています」(木下氏)