Point
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- データ運用は、ただデータを分析するのではなく「こうしたい」という思いありきのもの
- 初回から定期をおすすめするのがアンファーの勝ちパターン。
具体的にはネット上での購入ボタンを用意する、カゴに行く前に定期をおすすめする、 導線をきっちり引くなど、とにかく細かいことから徹底している
続いて登壇したのは、育毛シャンプー・コンディショナーのスカルプDで知られるアンファー株式会社の吉田南音氏だ。吉田氏は、同社のブランド戦略とデジタル戦略の統括を行うブランド戦略本部長で、アンファーのマーケティングは「人がやらないことをやれ」という考え方のもとで動いていると話す。
マーケティング戦略を成功させるポイントは組織づくり
マーケティング戦略を考える段階ではビジュアルによるインパクトを重視し、他社では実施しないような戦略を採用する。
その戦略を成功させるポイントは単純なひらめきではなく組織作り。いくら素晴らしい戦略があっても、チームがまとまっていないとうまくいかないと断言。「自分はマーケターだからマーケティング戦略を考えるのが仕事」「自分はデザイナーだからデザインの作成を行うのが仕事」と、それも間違ってはいないが、自分の仕事が終わったから満足という個人プレイでは、アンファーが目指すチームのレベルにはならない。チーム内の各々の歯車が噛み合わせることで会社全体として大きな成果を得ることができる。そのためにアンファーでは具体的に、各部署で同じKGIやKPIを設定し、達成を目指すことで大きな結果を得ることができると吉田氏は話す。
データ運用は、ただデータを分析するのではなく「こうしたい」という思いありきのものである
現在、アンファーにはリアル店舗、ネット店舗、広告施策などから多くのデータが集まってくる。もちろん、そのデータを見ているだけで様々な示唆を得ることができる。ただし、アンファーが大事にしているのは「何をしたいか」を先に考えることだと吉田氏は話す。「こんなことがやりたい」「これを成し遂げたい」という思いをきっかけとしてプロジェクトをスタートして、そのプロジェクトに沿う形でデータの収集・分析を行うべき。アンファーでは、ミーティングの場で「いいね!」とか「それ面白いね!」というキーワードがたくさん飛び交うディスカッションが出来ているチームは数字も一緒についてくることが多いため、マーケティング戦略は組織づくりと並行して行うことが重要なのである。
アンファー流顧客獲得のためのポイントは基本を抑えつつ攻めること
アンファーが行っているダイレクトマーケティング戦略の考え方は実は教科書的、所謂「バケツと蛇口」の例と同じで基本中の基本を抑えている。
新規獲得には蛇口を思い切り強くひねるか、蛇口の数を増やして、バケツの穴を塞いで水を逃さないようにするような仕組みをつくることが理想。これができれば顧客はリピートしていき、雪だるま式に売上が増加していく。
そして既存対策としては、定期購入者を増やすことが肝心。中でも初回から定期をおすすめするのがアンファーの勝ちパターン。二回目から定期に引き上げるのは非常に難しいため初回から定期に入ってもらえるよう取り組んでいる。具体的にはネット上での購入ボタンを用意する、カゴに行く前に定期をおすすめする、導線をきっちり引くなど、とにかく細かいことから徹底していると言う。
本当に大事なことは成功イメージをもって突き進むこと
育毛シャンプーブランドとしてNo.1というボジションを確立している『スカルプD』を擁するアンファーだが、全ての施策が成功しているわけではないと吉田氏は話す。うまく言っても行かなくても成功イメージを強くもつことが本当に大事なこと。それぞれの部署やメンバーの思いを大切にしながら、アンファー代表取締役社長の三山氏の「思い通りにはならない。でも思う通りにはなる」という言葉を信じて突き進んでいる。