販促の高速PDCAとLTVの細分化計測で引き上げ率を向上。
単品リピート通販に特化した“あじかん流”CRM活用術。

株式会社あじかん ヘルスフード事業部 通信販売課 西村様

1. 社内初のB to C。ゼロから手探りで事業展開してきたヘルスフード事業部

寿司や弁当、総菜などに用いられる業務用玉子焼でおなじみの食品メーカー『株式会社あじかん』。 「玉子焼きといえば、あじかん」と評されるほど風味を活かした同社の玉子製品は、素材の味わいに厳しい“すし”の世界でも信頼されているほど。チルドでは全国トップのシェアを誇る。 “毎日の暮らしの中でさらにおいしいものを、さらにからだに良いものを楽しんでいただきたい”という思いのもと、加工食品の製造・販売を手がけてきた。

その確かな技術とノウハウをベースに、同社では健康志向や地域性を反映した新商品の研究・開発にも取り組んでいる。 また、2010年12月にはごぼう茶準備室(現:ヘルスフード事業部)を設立。ごぼうの皮を丸ごと使って独自の焙煎処理を施した『焙煎ごぼう茶』をメインに、健康食品の通信販売を展開している。 同事業部の西村氏に設立時からのミッションと商品について伺った。

「できるだけたくさんのお客様に飲んでもらって、健康になっていただきたいというのがミッションであり、当社の会長と社長の想いでもあります。 主力商品である『焙煎ごぼう茶』は、原料の生産から製造まで一貫して行なっています。 契約農家にご協力いただいてごぼうを栽培し、自社工場で加工して製造。自分たちのところでつくって自分たちで販売できるのが、食品メーカーならではの我々の強みですね」

もともと1962年に玉子焼製品の個人創業からはじまった同社。一貫したモノづくりにこだわり、業務用加工食品の製造や販売ノウハウを培ってきた。 『焙煎ごぼう茶』もそうした“モノづくり魂”から生まれた商品だが、販売形態は社内初のB to Cである通販だ。 当然、はじめてのことばかりで手探り状態だったという。

「2010年12月の起ち上げから約7年半、本当にゼロから手探りの状態でした。 当社の中でも、B to C事業である通信販売を展開しているのはヘルスフード事業部しかありません。 現在、お客様の層がだいたい40代~70代の女性で、広告媒体はTVCMと新聞がメイン。 50代以降はテレビや新聞からの反響が多く、40代になるにつれWebからの流入が増えてくるという状況です。目下の課題はWebチャネルの強化ですね。 客層の傾向もあってかWebチャネルについては未開拓な部分があるので、カスタマーリングスを導入して拡販施策に取り組んでいこうということになりました」

2. 月次作業工数を大幅に削減。これまでできていなかったLTV計測に注力

同社ではカスタマーリングスと基幹システムを連係させている。 カスタマーリングス導入前までは、基幹システムで顧客数やアイテム別実績、引き上げ率などをひとつずつ検索。対象カスタマーを絞り込んで、CSVを出力していた。 そのため、条件設定からデータ作成まで手間がかかっていた。さらにクラウド型の基幹システムのため、アクセスやダウンロードに時間がかかることも問題点だったという。

これまでデータをまとめるのに1日~2日はかかっていました。1週間とか1ヵ月で締めた集計レポートをつくるにしても、実際のレポートが上がってきて確認するまでにタイムラグが生じてしまう。 1日、2日とはいえ、タイムラグってやっぱり大きいですよね。そこでカスタマーリングスを使うようにしたんです。 今はボタンひとつで見ることができるし、会議資料用に検索や集計方法を設定できる。月次作業の工数も大幅に減り、リアルタイムにデータを把握することができています

また、以前の運用では新規獲得効率や引き上げ率は確認できたが、定期の継続率やアイテム別、媒体別の動向、期間を区切ったLTVの計測はできなかった。 そのため、同部門ではCPRやCPO、F2転換率をベースにしたデータ把握が主で、新規獲得後のフォローや施策は属人化されてしまっていた背景がある。

「通販では特に、購入してもらったあとのフォローアップが大切です。 基幹システムでの運用でも、生涯LTVを見ることはできたのですが、商品シリーズ別や期間などを区切って計測することができませんでした。 何か施策を打つにしても、そのときアクティブなお客様の動向や媒体別の動向など指標となるLTVが欲しかったっていうのも、カスタマーリングスを導入したきっかけですね。導入後は 狙った分析が誰でもできるようになったので、属人化が解消されました。また、スタッフへの明確な数字の意識付けもできるようになったのも重要な変化ですね

3. 細分化したLTV計測による裏付けで広告出稿、提案の打ち手がスピーディーに

『焙煎ごぼう茶』も数種類あり、青汁や佃煮など他の商品も扱っている同社。 その中でも、優良顧客は『焙煎ごぼう茶』シリーズを継続して愛飲している人たちだという。優良顧客を増やしていくためにもLTVの計測、分析軸の細分化は重要だ。

こうした細かなLTVの計測は、コールセンターへの比較指標や提案の裏付けとしても役立っているという。 コールセンターのLTVを拠点ごとモニタリングし、引き上げ率や継続率の推移を把握。 クレジット決済のお客様の定期継続率が良いから、支払いはクレジットをすすめるように提案するなど 今まで感覚値でやっていた提案も数字をみせることで、オペレーターの反応も変わっていった。 さらに頭を悩ませがちな広告出稿の方向性も、思い切った施策が打てるようになった という。

「コールセンターなどの問い合わせ窓口や媒体、決済方法などテーマを決めてデータを見たときの違いを捉えることで、一歩踏み込んだ改善案の議論ができるようになりました。 複数商品を持っているといっても、我々の主力商品は『焙煎ごぼう茶』。単品リピート通販といえども、今まで見ていた切り口をもっと細かくして分析しないといけないと感じましたね。 また、テレビや新聞といった媒体別だったり、細かい引き上げ実績がひと目でわかるので、これまで明確な判断軸がなくやっていた広告出稿にも役立っています。 引き上げ率が良かったら、当然CPOが下がるわけじゃないですか。 そういうときにCPR効率が悪くても、CPOがこれだけあって引き上げることができているなら、 もっと投資しても良いんじゃないかといった打ち手が早く回せるようになりました。何が良くて何が悪いのか、効果を見ることはやっぱり大事ですね

4. 引き上げアウトバウンドの成果向上によるオンラインへの好循環

最近では顧客へのアクションも始めているという。その中のひとつがステータス別の顧客へのアウトバウンドだ。

「以前のシステムであれば毎月、定期購入何回目などステータス条件を設定して、データを抽出して、そこからコールセンターに送るためのデータ加工をして…と、 とにかく手間がかかっていました。これが 自動化されたことによって時間効率が大幅に向上。データ加工や送信ミスも防げるようになりましたし、さらに言えば、人件費のコスト削減にも繋がりました。 カスタマーリングスというと主にWebの成果が注目されがちですけど、どちらかというと当社はオフライン、つまりリアルな現場での成果を一番実感しました

もうひとつ、同社が注力しているアクションにステップメールがある。ステップメールも顧客の商品購入状況によって送信内容を変えたり、 定期購入に至ったら配信終了にするなどシナリオを分岐させる設定が必要だ。 この分岐設定については以前のシステムでも可能だった。しかし、カスタマーリングスにしてからはアウトバウンドとのシナジーが生まれ、成果に変化があったという。

「カスタマーリングスを導入してから、 お試し用を購入したお客様リストをコールセンターに毎日送れるようになりました。 おかげさまで引き上げ率がグッと上がり、ステップメールにも良い変化が起きました。 シナリオは以前のシステムで使っていたものとほぼ一緒なのですが、引き上げ率が上がったことでステップメールへの見方が変わりましたね

売上が上がり始め、基幹システムのトラフィックが増大すれば、当然サーバーに負荷がかかる。 そこでプロモーション用にもカスタマーリングスを活用し、基幹システムと役割を分けることで負荷分散にもつながったという。 アウトバウンドやステップメールに加え、同社では休眠顧客へのアクションとしてDM配信も行なっている。

お試し購入客へのDM配信はこれまでのシステムでもできたのですが、最終の注文ステータスや定期の回数など条件を掛け合わせたり、 複雑なセグメントをかけるにはカスタマーリングスを使った方が良いと思いました。 また顧客にセグメントをかけた結果、予想以上に送信対象者が少なくなってしまって条件設定をつくり直したいときも、更新をかけるだけで直せるので助かっています

5. ごぼう茶を“日常茶”に。もっと身近に飲んでもらえる施策を考えていきたい

カスタマーリングス導入後、今までの分析手法を進化させながら良い循環を生み出してきた同社。単品リピート通販ならではの切り口や指標を掲げ、CRM分析を展開してきた。 最後に、今後取り組んでいきたいと語ったのは『焙煎ごぼう茶』の定期発送割合の引き上げ施策だ。

「カスタマーリングス上で月ごとの定期発送人数を確認できるのですが、実質の発送人数と差があります。その差というのは定期の休止だったり、スキップをされているお客様の人数。 例えば、定期発送予定者が10万人いたとして、実際に発送したのが8万人であれば発送割合は80%。残りの20%はその月に発送していないことになります。 この未発送の割合を減らしていくのが今後の課題であり、これから取り組んでいくべき施策ですね。『焙煎ごぼう茶』はサプリメントではないので、毎日飲まなくてもいい商品。 なので、どうしたらもっと飲んでもらえるか?新規顧客獲得時のフォローの仕方でLTVや売り上げが変わってくるんじゃないかなと考えています。 ノンカフェインなのでお子さまからお年寄りまで、ご家族みんなで飲める『焙煎ごぼう茶』。 健康茶としてだけではなく、日常茶の仲間入りが果たせたら良いですね」

この施策のためにWebマーケティングの強化もカスタマーリングスとともに図っていきたいと語った西村氏。また、顧客の声の活用にも意欲的な姿勢を見せてくれた。

今後、カスタマーリングスにはプラスアルファコンサルティングのテキストマイニングツール『見える化エンジン』を連携させることや、 カスタマーリングスでもテキストマイニング機能を強化し、効果的なメルマガタイトルやユーザー属性を掛け合わせた開封率の分析、 VOCと受注実績などの相関から顧客の色分けなども行なえるよう開発を進行中だ。 VOCからの分析アプローチも取り入れることで、さらに同社の通販事業に寄り添ったCRMとWebマーケティングが展開されていくことだろう。

株式会社あじかん ヘルスフード事業部 通信販売課の皆様と弊社日野